SYD活動

理事長随想

企業研修と人づくり

理事長 御手洗 康

正月早々、会津の湖畔のホテルでおこなわれているある企業の修養団研修会を見学させていただいた。社員は毎年一回この研修会に参加することになっており、今年で9年目になるそうです。毎日家庭で食べる食材を作っている会社ですので、品物を売ってそこで仕事が終わりになるのではなく、お客様が無事に食べ終わって初めて仕事が終わる、という信条の下に、安全で美味しい食べ物を、安心して食べていただくことを一番大事にしているということです。正月が終わってほっとしたこの時期に毎年修養団研修をおこなって、気持ちを引き締めて新しい年の仕事に取り組むようにしているのだそうです。社長、会長も一受講者になって、社員と一緒に童心行や厳寒の猪苗代湖での水行にも加わっておられました。この姿勢があってこそ社員もついていくのでしょう。

多くの企業で知識や技術に関する研修を行っていますが、働く人によってそれが活かされもすれば、無駄にもなります。とりわけ直接人と接する仕事では、人を思いやり、明るく楽しく仕事ができるかどうかが仕事の成否を大きく左右します。知識や技術を超えた仕事への情熱や使命感を大事にする企業の人づくりに、修養団研修が果たす意義を改めて確信することができました。

教育基本法には「人格の完成」と「国家及び社会の形成者の育成」という教育の目的と併せて、「国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう」生涯にわたって学習することができる社会の実現を目指すという生涯学習の理念が掲げられています。これは、修養団の目的とほぼ同じといってよいでしょう。

修養団の設立は教育基本法よりも四十年も前になりますが、機関誌『向上』の名前が示すように、人格の向上を目指して設立されました。『蓮沼門三の言葉110』の最初にありますように、初代主幹は人格の向上は何もむずかしいことではなく「世の中に好かれる人柄」をつくることだと言っています。そして、そこから「さらに一歩進んで、家のためはむろんのこと、人のため、世のため、国のため、全人類のために役に立つ人」になることだと教えています。国のため、全人類のためということになると少し気後れがしてしまいますが、人に好かれるような人柄をつくるということであれば誰でも目指すことができそうです。そして、それは生涯にわる課題です。

学校でも知識や技術を身につけるだけでなく、それを通して人格の完成を目指した教育が行われていますが、修養団はこれからも青少年活動や講習会・企業研修などを通して、誰もが「こんにちは」「どうぞ」「ありがとう」ということができ、豊かな人生を送ることができるよう、クラブ・連合会の皆さんとともに進んでいきたいと思います。